「適用される選手に偏りがあるのでは?」
「アジア人だからか?」
「タイガー・ウッズが同じ状況ならどうなのか?」
全英オープンゴルフ3日目(第3R)
“優勝争い”をしていた21歳の松山英樹選手に下されたのは
スロープレーによるペナルティ(1罰打)でした。
松山の同伴者ジョンソン・ワグナー怒りのコメント動画▼
17番ホールでティーショットを左に曲げ、
ボールは深いラフに。
ラフにすっぽりと埋もれた難しいライ(難しいボールの位置)。
進藤大典キャディーと話し合いながら慎重に打った第2打は
見事フェアウェーに。
しかし、直後の第3打を打つ前に、R&Aの競技委員から
スロープレーによるペナルティ(1罰打)を宣告されたのです。
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ゴルフのスロープレーとは?
「スロープレー」とはゴルフルールブックに明記されている規則です。
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ゴルフのルールブックの規則 6-7「不当の遅延、スロープレー」
プレーヤーは不当に遅れることなく、委員会がプレーのペース
についてのガイドラインを決めているときはそれに従って
プレーしなければならない。なお、1ホールのプレーを終えたあと
次のティーインググラウンドからプレーするまでの間も、
プレーを不当に遅らせてはならない。引用元はhttp://www.jga.or.jp/jga/html/rules/rulebook/ch300/ch300_rule06.html#6-7
罰則についても
・原則として2罰打。
・競技委員会は 競技規定で その違反に対する罰を
「初回の違反 1打罰」「2回目の違反 2打罰」
「その後 更に同じ違反があった場合は競技失格」と修正することが出来る
と明記されているので、違反した選手がペナルティを受ける
のはおかしくはありません。
なぜ、スロープレーにはペナルティが?
「他の競技者に迷惑がかかる(他の競技者をいらつかせる)」
「競技時間が長くなっていることで一般プレーヤーの“ゴルフ離れ”が進行しているから」
これらの理由で、USGAが
「Hit it! While we are young.」
(僕らが若いうち、年を取る前に打て!=早く打て!)
という、スロープレー撲滅キャンペーンを開始したりしています。
ではスロープレー違反の選手にペナルティを科すことの
何が問題なのでしょうか?
理由は次の2つです。
- 計測時間が目に見えないこと
- 適用される選手の偏りがあること
2013年に入ってスロープレーのペナルティが問題になったのは、
全英オープンゴルフが初めてではありません。
4月のマスターズでは、14歳の中国人グァン・ティンランが
スロープレーによるペナルティ(1罰打)を受けています。
そして、今回の全英オープンゴルフで日本の松山英樹へのペナルティ。
「(ゴルフの)メジャー大会でアジア人差別があるのでは?」
と適用される選手の偏りが議論されている理由です。
スロープレーのペナルティを防ぐためには?
では、スロープレーによるペナルティを防ぐためにはどうすれば良いのか?
・1打の持ち時間40秒〜50秒を意識する
・前の組との間が「1ホール以上開いていないか?」を意識する
今回の全英オープンでは、次のような流れでスロープレーの判断、裁定がなされました。
- 決勝ラウンドの1ラウンドの制限時間は3時間41分
- 各ホールごとの通過予定時間の設定あり
- 前の組から大きく遅れた組はプレー時間の計測を開始
- 最初に打つ選手は50秒以内、次に打つ選手は40秒以内にプレー(パターもショットも)
- 規定時間を超えた者はまず1回目の「警告」を受ける
- 2回目の「警告」を受けると1罰打のペナルティ
松山英樹選手は目安となる制限時間から15分遅れていた15番ホールで、
パットに1分12秒費やして、1回目の警告を受けた。
次に、17番ホールの第2打を打つまでに2分12秒費やして、2度目の警告。
これにより1罰打のペナルティを受けることになった。
2度目の2分12秒という数字は40秒、50秒という規定時間
を軽くオーバーしています。
その前に警告を受けているので、
「スロープレー違反に対する認識が甘かった」
ことは間違いないですね。
もっとも、2度目のショットの難易度を考えれば
2分12秒という時間を費やしてしまったことは、
しょうがないことだと思います。
「(2打目に時間をかけると)スロープレー違反によりペナルティを受ける可能性がある」
松山英樹選手と進藤大典キャディーの2人に
その覚悟があったかどうか?
全米オープン、全英オープンで連続10位以内に入り
名実共に1流選手の仲間入りを果たした松山英樹選手。
7月5日の国内ツアー「長嶋茂雄招待セガサミーカップ」
2日目にも競技委員から遅さを指摘されており、
「(松山英樹は)国内でも決してプレーが速いほうではない」
そう言われる松山英樹選手の今後の課題は
「プレーのスピード」なのかもしれませんね。